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とある美術部の微人たちの日記

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『空想少年』あとがき

いままで『空想少年』を読んでくれた皆さん。今までだらだらと長い文章で失礼いたしました。本当は僕が退職するまでずっと続きを描きたかったのですが、やはり、自衛隊内部では防衛機密に触れたりといろいろ問題があり、さらに入隊すると手元にパソコンが無い生活になりますので、更新が非常に困難になります。なので空想少年はこれでお終いにしようと思います。
ど素人の文章で、かつ専門用語の多用で読みにくい、理解しがたい文章でしたが、最後まで読んでくれた方や応援してくれた方に、この場を借りて御礼申し上げます。

僕、エースの当面の予定としましては、3月26日に着隊なので25日に出発致します。着隊後、4月6日の入隊式をもって正式に入隊となります。携帯電話は持って行くので、21時20分から22時00分の間しか返信できませんが、アドレス等をご存知の方はたまに連絡くだされば幸いです。
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緊急事態

翌朝。お世話になった教官や内務指導員の人々に別れを告げる中、C-1輸送機が発進準備を完了した。私たちは配給された昼食のレトルトカレーを持ってC-1輸送機の後部貨物ドアから搭乗し、座席ベルトを締めてエンジンの始動を待った。
私は右舷最後尾に座り、隣には大山が座っていた。向かい側となる左舷後部には内山と清水が座っていた。
やがてエンジンが回りだし、轟音によって耳からの情報は全てカットされる。
機内は乾燥していたのでポケットからフリスクを取り出し、中身を手の平に出した。多く出てしまったので隣の大山に差し出した。大山は首を横に振る。私は視線を前に戻すと、正面の清水と目が合った。フリスクを差し出す真似をすると、彼は小刻みにうなずいた。
私がケースを放り投げると彼はキャッチ。手の平に取ると、隣に座っていた大山にケースが渡った。私は快くうなずくと、大山も一粒手に取った。
私の所へ放ってよこすかと思ったら、さらに隣へ回してしまった。清水と大山はニヤニヤこっちを見ている。
「やられたっ!」
私が顔であらわすと、二人はけらけら笑っている。あれよあれよという間に前のほうまでケースが回り、15人目くらいで中身が空になったようだ。もとのルートをたどってケースだけが戻ってきた。関与していた機体左舷に座っていた一同は私を笑って見ている。

そんなことをしているうちにC-1は滑走路に到着し、大きな機体を空へ持ち上げた。

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パイロットの卵(未受精卵)

ソファーで眼を覚ました。
私は最後のフライトを終え、残った検診の順番を待っていた。
診察室の中から呼ばれた。ひんやりとした廊下の床には廊下の景色が映りこんでいた。
簡単に過去の病歴を質問をされ、聴診器を当てられる。

私は疲れきっていてよく覚えていないが、気がついたら居室に戻ってベッドに身を預けていた。靴を履いたまま、ジャンパーも脱がずに。40分ほど寝ただろうか。目を覚ましてもまだD班は誰も帰ってきていない。

暇を持て余そうと携帯電話のカメラにパイロット姿の自分を収めた。もう見納めかもしれない。単純計算でも、今ここに来ている約20名の中から7名が採用となるのだ。なんだか縁起が悪いような気もしたが、不採用になる確率のほうが大きかったのだ。ここまで競争を勝ち抜いてきた仲間も私も、誰一人といって自信がある者はいなかったのだ。
しかし、試験は全て終わったのだ。やることはもう無い。

今頃は地元では卒業を賭けた最後の定期テスト1週間前となっていたが、そんなことも忘れて遠く離れたこの静浜の地で出会った仲間は、この夜ずっと、消灯まで大いに語り合い、大いに笑った。ライバルだとは誰も思わない。なかなか出会えない得がたい"同士"であった。しかし、暗黙のルールとして、お互いの連絡先や受験番号は誰も聞こうとしないし、話そうともしなかった。
私のルームメイトの内山。
その同級生で、向かいの部屋の大山。
大山のルームメイトの清水。
そして私。
お互いの呼び名さえわかってさえいれば十分であった。

あっという間に消灯である。

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パイロット気質

女性の医務官に起こされる。そうだ俺は脳波検査の順番を待っているうちに眠ってしまったのだ。

部屋に入り、ベッドに上がる。ベッドの横には何やら大掛かりな機械があり、数十本の電極がぶら下がっている。医務官はその電極を何かクリームのようなもので私の頭に丁寧に貼ってゆく。ベッドに横たわり、目を閉じるように指示される。部屋は真っ暗にし、時々顔の前でストロボを点滅させられたりするが、決して目を開けてはいけない。そして眠ってもいけない。うっかり眠りそうになると
「眠くなってきたけど我慢してね」
脳波を見ている医務官には全てお見通しである。
眠っているのか起きているのか自分で解らなくなってきた頃、終了を告げられた。約50分かかった。
さらに内科検診が残っていたが、次のフライトが迫っているため、搭乗員待機室まで戻った。
戻るとすぐに4回目にして最後のプリブリーフィングが行なわれた。なんと教官は講義の際に教壇に立っていた高木1尉であった。
CP-4では、検定終了後にサービスとしてアクロバット飛行とレンズ付きフィルムでの写真撮影が許可されていた。ブリーフィングルームで席に着き、高木1尉は開口一番に
「で、(アクロバット飛行は)どうする?」
何だか楽しそうである。私も楽しくなって
「課目は何をやってもらえるんですか?」
「アクロは、横系統がロール(横転)か、バレルロール(軸横転)か。縦系統はループ(宙返り)、スピンだね。今日はこの中から2課目クリアランス(許可)が下りたから、このうち2つだけ。ほかにリクエストがあればそれでもいいけど。」
「そうですねー、オススメは何ですか?」
「スピンなんかはアクロではないけど迫力満点です。片方の翼だけ失速(浮かぶ力を失って落ちること)させて、こうやって回転しながら高度を落ちてゆく機動。」
高木1尉は手を飛行機に見立てて機動を説明する。パイロット特有のしぐさである。
「じゃあループとスピンでお願いします。」
「おー、強気だね。了解です。カメラ持って行くかい?」
「はい」
「解りました。じゃあ、検定のほうは特にいまさら言うことはないので、いつもの要領で頑張って下さい。」
「よろしくお願いします。」
起立と同時にお辞儀をする。
11時00分にルームアウト。
今朝と同じ914号機のコックピットに身を沈める。
エンジンの始動手順の間、今後しばらくお別れのコックピットを隅々まで眺める。ちらりと右を見ると、同じくエンジンを回す2番機の後席と目が合った。D班の仲良し、大山がにっこりと親指を立てている。私も右手を上げてにやりと答える。なんだか晴れ晴れした気分だ。自信が湧いてくる。

11時14分。914号機は颯爽と地面を蹴って舞い上がった。
空域へ向かう途中、高度5000ftで気圧高度計を前席と後席で合わせていると、ドスンという音と軽いショックが914号を襲った。

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CP-3

11月22日 午前5時20分
辺りはまだ暗いが、廊下の明かりが灯り、活気付いた。思いのほかよく眠ったらしく、頭は冴えていた。内山も起きてきた。2人で廊下に出る。向かいの部屋から大山と清水も出てきて、仲良し4人が顔を合わせる。
例によって列をなして食堂へ行き、朝食を摂る。しかしC班は部屋でパン食を済ませ、ブリーフィングへ向かっているはずだ。
私たちD班は6時半からプリブリーフィングが始まる。今度の教官はまだ若い1等空尉であった。大変に明朗で陽気な男であった。
ルームアウトを済ませて搭乗。本日の機番は914号機であった。
まだ完全に昇りきっていない太陽からの朝日を浴びながら軽やかに離陸。時計は7時半にまだ届かない。いまだ地上が薄暗い中、我が機の翼だけがいっぱいに朝日を浴びてまぶしいほどだ。

約8分で飛行空域5000ftに到達。今回は山に近い空域だ。これで3回目のフライトなので、これ以降の練習タイムは無く、いきなり課目の検定から始まる。ただし急旋回はまだ2回目なので練習が許されている。
「じゃあ始めよう。準備はOK?」
「はい、どうぞ!」
「You have control.」
「I have control.」

T-7の914号機
914は静浜基地に納品された最初のT-7

914ny050826.jpg



110kt上昇姿勢で上昇し、20度バンクで左右へ90度ずつ旋回し、水平飛行へ移行した。ここで教官に操縦桿を渡し、採点される。膝に乗せたクリップボードへ何か書き込む。
「いいじゃーん」
かなり絶賛されていい気分になる。
次は30度バンクの普通旋回を鮮やかに決め、ここでもいい評価を受けた。私より教官がはしゃいでいるように見えたが、私も嬉しかった。ここまでは順調であった。

高度計は長針と短針が重なって上を指している。高度は10000ft(3333m)。次はいよいよ急旋回である。

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急旋回

いつもは大勢の受験生と訪れなければならない食堂も、今日は一人であった。午後から2回目のフライトが控えているが、昼食のメニューはカレーであった。内務の山本空士長はすでに昼食は済ませたらしく、私の食べる様をじっと見ていた。
なんとか一人前を平らげるとすぐに待機室に戻る。戻るなり面接だという。
すぐ向かいの部屋で面接が始まった。
「入隊した場合、訓練中の事故で無くなる方もいらっしゃいますが、本当によろしいのですか?」
「先輩(上官)にタバコを勧められたらどうしますか?」
「人の命を奪うような仕事を選んで、親不孝だとはおもいませんか?」
など、2次試験のときよりイジワルな聞き方をされたが動じない。面接官もその"自衛官"なのだから。20分で面接は終了した。
13時55分からCP-2にむけたプリブリーフィングを行い、14時30分には私たちD班はルームアウト。教官はさっきとは違い、中肉中背の40歳くらいの1等空尉であった。ひとつひとつの挙動がきちっとしている。CP-1で操縦交代の交話がうまくいかなかった旨を述べると、確実な交話を約束してくれた。
機体へ向かう。機番はさっきと同じ930号機である。

コックピットへ潜り込む。今度は全て自分で行なうことが出来た。

T-7の前身T-3練習機のコックピット。
機種こそ違うが基本的な雰囲気は変わらない。ただしT-7にはエアコンが装備されている。
t-3_009.jpg


教官が乗り込み、エスコートの小泉先輩が機体から離れる。
プロペラがするすると回りだし、やがてコックピットを爆音で包み込んだ。


発進準備中のT-7
20070212163343.jpg



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CP-1

フルパワーでブレーキを解き放たれたT-7は滑走路を滑り出す。座席に圧迫される。滑走路脇の芝生が線となり、後ろへ流れてゆく。あっという間に離陸速度に達する。その間10秒。T-7は軽々と舞い上がった。右に振り返ると静浜基地が見える。滑走路では清水の乗る2番機が宙に浮いたところだ。搭乗員待機室の窓が見える。そこにはA班の離陸を羨望の眼差しで眺める私がいた。

まさしく地面を切って舞い上がったT-7
wall4m.jpg



どんどん高度を上げ、小さな雲を潜り抜けて訓練空域の高度5000ftに到達した。インターコムに教官の声が飛び込む。
「じゃあちょっと触ってみようか。You have control.(あなたが操縦して下さい)」
「あ…I have control.(私が操縦します)」
操縦を替わる約束の合図だ。
目の前に操縦桿(スティック)が突き出ている。本当に俺が操縦してよいのだろうか。しかし、もたもたしている時ではない。私は、何か恐ろしい物を掴むようにスティックを握り締めた。
教官の指示で上下左右に操縦してみる。おっかなびっくりだ。
スティックの操作量に応じて舵を中立に戻そうとする生の操舵圧を感じる。スティックを通じて手に風を感じる。
「はい。いいです。じゃあ課目に入りますよ。まず見本を示します。」
「あ、はい・・・You have control・・・・?」
合図が行なわれずと惑った。
この操縦適正検査の課目は上昇系・水平系・降下系で
『直線上昇→上昇旋回→上昇からのレベルオフ(水平旋回への移行)』
『普通旋回→急旋回』
『水平直線飛行から直線降下→降下旋回→降下からのレベルオフ』
である。
まずは教官による上昇系のデモが行なわれた。
速度110kt(時速204km)の上昇姿勢、パワー70PSIから行なわれる。上昇しながら左右にそれぞれ90度ずつ旋回し、速度を維持して指定された高度で水平飛行に移行する。
さすが教官の操縦は見事なもので、ぴたりと高度9000ft(2743m)でレベルオフして見せた。次は私の番だ。まずは練習から。教官はT-7を110kt上昇姿勢にした後、
「じゃあいきますよ。You have control.」
「I have control.」
速度110kt(時速204km)、高度5100ft(1524m)。930号機は私の操縦に切り替わった。

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プロフィール

北海道の美術部

Author:北海道の美術部
とある公立高校の美術部です。
現在
3年7人(女7)
2年10人(女11)
1年5人(女4 男1)
計21人で活動しています。

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